触れてみたい〜愛しい彼女の傷跡〜

下を向いたまま前までくると、委員の男子が賞状と賞品を俺に渡した。

「おめでとうございます」

彼はもう一度確認するように俺の顔を覗き込みながら、賞状を離した。


━━ちっともめでたくねぇよ…


「ども…。」

俺は早くこの罰ゲームから逃げ出したかった。

俺は下を向いたまま、みんなの拍手を聞いていた。

「大丈夫?」

冬花が心配して声をかけてくれたが、俺は軽く笑うだけで返事はしなかった。

ざわざわと騒がしく表彰式が終わると、みんな制服に着替えに行ったり、そのまま帰る奴もいた。

俺はというと汗臭いTシャツのまま帰るのが嫌で、更衣室にむかって歩いていた。

更衣室の扉を開くと、数人の男子が着替えているだけだった。

きっと着替えるのが面倒でそのまま帰る奴が多かったんだろう。

しかし部屋のなかには数人しかいないはずなのに、汗や制汗剤スプレーの匂い。

あきらかに女子を意識している甘い香水。

たくさんの匂いがまじり、むせ返りそうになるほど気持ち悪い。

俺はさっさっと着替えて、臭いこの場所から逃げ出した。

出口までくると再び鼻を突く甘い匂い。

「あ、葉山くんだぁー。ぐーぜんだね。一緒に帰らない?」

作ったような甘い声で俺に群がる女子。

あきらかに待ち伏せしていたように見えるけど?

しっかりメイクされた顔と髪がそれを物語る。