触れてみたい〜愛しい彼女の傷跡〜

一瞬にして空気が変わる。

背中を何かが駆け上がったみたいにゾクゾクとする。

胸が高鳴り、わくわくしてくる。

冬花はボールをかかげ、腰を落とした。

その時敵のチームの奴が冬花の前に回り込んだ。

だけど、彼女の目には目前に迫る敵でなくその後ろのゴールリングを見据えていた。

ぐっと力をこめて彼女は勢いを付ける。

バネのように高く跳ね上がり、天高くボールがはじき出される。

さすがにあの高さは背の高い相手にも手が届かない。

弧を描き落下を始めるボールを必死に敵が追い掛ける。

しかし追い付くまえにボールは落ちた。

しっかりと、リングの内側に。

ストン。



「よっし!!」

自分のことでもないのに手に力が入って、ガッツポーズをしていた。

振り返った彼女も俺と同じように満遍の笑みでピースしてきた。

そしてまたあの鋭い目に戻って相手のチームに飛び込んでいく。

大奮闘のすえ、一点差で冬花が勝った。

これで俺のクラスは男女ともに一位の座を飾ることになった。