触れてみたい〜愛しい彼女の傷跡〜

俺は自分の隣をペチペチと叩いて、冬花に座るように促した。

「え…?」

冬花の目は動揺の色に染まり、視線が泳ぐ。

一瞬だけ優と目が合ったのか、青い顔をして後退った。

「おいで、桜」

猫を呼ぶように手を差し出す優。

寂しげな瞳で彼女に笑いかける。

それを見た彼女は覚悟を決めたのか、ゆっくりゆっくりと優から離れて、俺の近くに座った。

どこか気まずい空気を流す二人の関係。

優は涼しげな顔をしてはいるが目までは笑ってない。

冬花も笑顔一つなく、下を向いたまま。

俺は自分の感情だけで二人を振り回して、悪いことをしたような気がした。

冬花は何もしゃべらずに黙々と弁当を食べている。

この二人の間に何かあったのは間違いないが、今は聞けるような雰囲気じゃない。

俺は気まずい空気から脱出したくて、話題をふることにした。

「冬花はバスケ部だったのか?」

声をかけられると予想していなかったのか、冬花はビクッとした。

「私は…部活とかじゃなくてマネージャーだったの」

ぎこちない笑顔で彼女は俺に答えた。