触れてみたい〜愛しい彼女の傷跡〜

「無視すんなっ!」

ついに怒ったのか、五島が俺のヘッドフォンを後ろから無理矢理とった。

コードが鞭みたいに俺の首を打つ。

「ってーな。何すんだよっ!!」

「おまえが無視するからだろ。」

耳元で五島がギャーギャーと騒いでいるのをこらえながら歩いていると、校門の前まで来ていた。

「あ、冬花ちゃーん。おはよぉ」

急に五島の声かでれでれとしたうざったい声にかわった。

振り向くと五島の隣に冬花がいた。

「あ、…お、おはよ葉山。」

冬花は迷ったすえに俺に声をかけてきた。

きっと俺が避けていたから向こうも気まずいのだろう。

俺も返事をするか迷ったが素っ気なく「…はよ」と言って先に歩きだした。

「えー。冬花ちゃん俺はぁ?」

後ろでだだをこねている五島に冬花は少し迷って笑顔で「おはよう」と言った。

嬉しいのかヘラヘラと笑っている五島に俺はムカついた。

「行くぞ。」

少し戻って五島の首に腕を回し、引きずるようにして冬花から離れた。

「あぁー冬花ちゃーん…」

バカみたいに手を伸ばして冬花の名を呼ぶ五島。

それを追い掛けるわけでもなく、冬花が見ていた。

廊下までくると五島がまた騒ぎだす。