人貸し屋




わかっていたというように

カップを置いて女当主は

話を始めた



「それは、術のかかった瓶

 アナタの大切な人や

 会いたい人を貸してくれます」



「あ・・・はい。

 それはなんとなくわかります」



「驚かないんですね」



「・・・いや、昨日すごく驚きました」



「そうですか。

 そしてその大切な人は

 その瓶が開いてる間、

 まるで今までいたかのように

 存在してくれます」



だからみんなが

一葉がいても驚きもしなかったのか



「期間は3日。

 明日には返してもらいますよ」



「・・・わかってます」



「では、教えられることは

 ここまでですが・・・

 他になにかありますか?」



「・・・いえ、ありがとうございました」