「あっ!ちょっ、千尋⁈」



あたしは教室を飛び出した。




「待って千尋ッ!」



親友の言葉さえ無視するあたしは、やっぱり最低だ。




……でも、こうしなきゃいけないんだ。




あたしは必死に屋上に向かった。






屋上に着いて、息を切らす事なくゆっくりと歩く。



そして、屋上のフェンスに手と足をかける。



古いフェンスは、ギシギシときしませながらゆっくりと傾く。




…1歩、また1歩、フェンスを登っていく。





………そして、1番上に到達した。





……あとは、飛び降りるだけ。


指先をぐっと握り、足を浮かせた。








「千尋っっっ!」

「…っ」



上げかけた足を下ろす。




愛ちゃんがあたしに駆け寄ってくる。



「ダメッ!」


あたしは大声で愛ちゃんに言う。



「えっ」

愛ちゃんはその場で止まった。




「…愛ちゃん、今までありがとう。あたしは、もう生きてる意味がない人間だから、だからあたし……し「バカッ!」



愛ちゃんに言葉を遮られる。


「バカじゃないの⁈命なんだと思ってんの⁈」


いつも穏やかな愛ちゃんが、初めて声を荒げた。



「自殺なんてね、1番やっちゃいけない事なんだよ⁈たった1つの命でしょ!大事にしなさいよ!」



そしてまた愛ちゃんが近づいてくる。





その優しさに、また甘えそうになる。



……でも、ダメなんだ。




「っそれ以上近づかないで!」


そしてまた愛ちゃんの動きが止まった。