「おい、降りろ」
「ここ、どこよ?!」
「どこだっていいだろ?いいから早く降りろ」
男は女の腕を掴んで無理やり車から降ろした。
「ちょっ……こんな人気の無い所に連れて来て、私をどうするつもりよ?!」
「いいから黙ってこっち来い!!」
「嫌よ!!離して!!」
「ったく、ギャーギャーうるせぇ女だな」
男は女の腕を掴んだまま、
ゴーストタウンの廃墟へと歩み進める。
暫くして、廃墟の入口で足を止めた男。
車が停車している通りからは死角になっているようだ。
荒れ果てた状態だけでも不気味なのに、
その場所は朽果てた大きな建物の影になっていた。
「腕が痛いわ」
「黙れ!!」
「ッ?!」
「先週の土曜日、お前どこにいた?」
「えっ?」
「あの冒険家野郎と居ただろ?」
「ん?!」
「それ、アイツから貰ったヤツだろ」
男は女の肩を壁に押し付け、首元を絞め始めた。
「俺があげたネックレスはどうした?」
「んッ…くっ……るし…ぃ…」
男はもがき苦しむ女を蔑むように見下ろし、
女が身に着けている首輪で更に首を絞め始めた。
「ごっ……めん…な……さ…ぃ…」
「フッ、今さら謝って貰ってもな…」
男は悪魔のような笑みを浮かべ、
女の頬をそっと撫でる。
「今まで……楽しかったよ」
一瞬だけ優しい笑みを浮かべた男は、
女に最後の口づけをした。
『はい、カ――――ット!!』
『お疲れ様で~す!!』
「お疲れ様でした。大丈夫?俺、結構…力入れたから」
「あっ、大丈夫です。シリアスな雰囲気が出せて、良いシーンが撮れたと思いますよ」
「だと、いいけど…」
男と女はにこやかに微笑んだ。
~FIN~