「…キスしてくれたら返してあげるっ!」

「誰によ」

「もちろん俺っ!!」

はぁ!?意味わかんない!ほんとコイツバカじゃないの!?渡川なんかとは絶対したくない!


「渡川さ、私の気持ち考えないでよくそんなことホイホイ言えるね!!だいたいさ…」



「なら俺気持ち考えたことあんのか…?」



ドンッ…


「いった……」

私の両腕をつかみ、壁に押し当てる渡川。
しかも真顔で。

不覚にも心臓がドキリと大きく鳴る。


「なっ…やめてよっ」

渡川の胸板を強めに叩いてみるけど、びくともしない。

「…すげぇ好きなんだよ…何で分かってくれねぇの?」

泣きそうな顔で訴えてくる。何でそんな顔すんの…?…でも私は……!

「離してっ!!」

ぐっ…


「ちょっ…いたい…」

渡川の手の力が強くなる。

「いい加減…俺の女になれよ…!!」


ぐっと顔を掴まれ渡川の顔が近づいてくる。


やだ、やだ!やだっ!!


「い、いやぁっ…」




キスされてしまった。




「んんっ…やめっ…」


離しても離しても戻ってくる渡川の唇。


怖い…怖いよ…!


『助けて徹』


そう心の中で叫んだ時だった。