ーーカキーン!


「智!」


その日の練習中、俺は智に声をかけた。

いつもなら、怒鳴るタイミング。


他の部員もジッと俺を見てた。


けど、もちろん今日は、昨日までとは違う。


「今のよかったぞ!さっきのもう一回なっ」


流石に俺が、笑顔でってことはないけど。

でもちゃんと、今の智を認めた。


たったそれだけのことなのに、グラウンドは怖いぐらいに静まり返った。


「……な、なんだよ」