「全然参考にならねぇー」


「は!?何の話?てか……あたしが智のこと好きなの、内緒だからね!」


智は気付いてねーの?

バレバレだと思うけど、智が気付かない理由が何かあるのか?


「はいはい。つか、いつも練習見てて飽きねぇ?小田切も野球好きなの?」


何気なく聞いただけ。

特に深く考えてたわけじゃない。


でも


間髪入れずに、はっきり答えた。


「野球なんか嫌い!」


その力強さに、一瞬息が止まった。


“好きではない”じゃなくて、“嫌い”?


野球に興味のない奴には出会ったことあるけど、嫌いな奴なんて初めてだ。