アパートに着く頃に、雨は降り出した。
琴さんは部屋に入るなり、すぐ俺に抱きついて来る。
「琴さん、風呂入んないと風邪引くよ?」
「……ん。美鶴が温めてよ?」
俺の首に手を回し、隙間から見上げた顔はまるで捨てられた猫みたいな顔。
「甘えん坊だね」
「……ダメ?」
「いや……可愛いけど」
そのままキスを交わしながら、ベットへと倒れ込んだ。
雨の日の琴さんは積極的。
もう3年も続くこの関係。
だから雨の日は絶対行く。
雨の日に貴女がこうなるのは、俺じゃない男を想っているからだとわかっていても。
何でだろうね、俺達が出会ったあの日も雨だったからかな。

