掴んだ腕を引き寄せ、琴さんを抱きしめた。
すっぽりはまる小さな細い体と、琴さんの香水の香り。
すごく……懐かしくなった。
「えっ。み、美鶴?」
慌ててる琴さんが可愛い。
「お願い……。1分でいいから、このままでいさせて?」
その言葉を聞いて静かになった琴さんの腕が、俺の背中に回る。
やっぱり、優しいね琴さんは。
ごめんね?
最後まで、こんな我儘な事してさ。
もうしないから。
貴女には、前に終わってた事だったんだろうね。
俺だけが後に引きずってたのかもしれない。
たった1分だけ。
もう、俺の我儘は終わりの時間。
終わりにしよう。
「琴さん……。
今から言う事はガキとか、思い付きとかじゃないから真剣に返事してね? いい?」
「え? うん」
これで貴女は真剣に答えてくれるよね。
そう言う人だからさ?

