「だって私なんて…」
「私なんてじゃない! 琴さんだからっ」
琴さんだから……好きなんだ。
力を込めすぎたのか。
困ったな、そんな顔を見せる。
俺、また貴女を困らせてるだけなの?
気持ちを伝えるだけで、貴女を困らせる?
【嫌い】じゃないけど【好き】でもない。
だったら、ハッキリ俺を突き放せばいいじゃないか。
そんな事、年上だから出来ない?
なら、ハッキリ振らせてあげるよ。
俺が前に進みたいからじゃないよ。
貴女が好きで好きで好きで仕方ないから。
これ以上、貴女を困らせたくないから。
だから。
最後に、一度だけ、一度だけ。
その言葉を言う前に、貴女を抱きしめたい。
例え、もし会ったとしても二度とこんな事しない。
そう誓うから。
お願いだから抱きしめさせて。
そして言うから。
その言葉を言ったら最後。
貴女は『ごめん、無理』って俺の元を去って行けるから……。
ね、琴さん?

