「え……。ほ、本当に?」
少しあいた間の後に聞こえたのは、琴さんの驚いた声だった。
黙って頷く俺は、未だ琴さんと目が合わせられない。
「私……12歳も上だよ?」
「……だね」
「しかも、水商売あがりだよ?」
「うん……」
琴さんの声が震えている。
俺の想いは一方通行じゃない?
あの時の涙は、うぬぼれじゃなかった……そう信じていい?
「美鶴……。
私みたいな年上と遊んだのが忘れられないんじゃない?
若い子と何か違うかった?
だから……」
クスッと笑った琴さんに『何それ?』そう呟いて、俺は顔をあげた。
何で、何で、いつもそうなの?
若いとか。
若くないとか。
そればっかり。
恋愛に年齢は必要なの?
じゃあ何歳までは恋していいの?
何歳からは駄目なの?
何歳離れまでなら考えてくれる?

