「……琴さん」
俯いて目を逸らしてたのは、俺の方だったのかな?
貴女を見ると前と変わらず、優しい目で俺を見つめてた。
見つめ合ったのなんて、いつ以来だろう?
その瞬間、心臓が大きな音をたてて加速していく。
一瞬、逸らしてしまった目をまた貴女に戻し……覚悟を決める。
ここで逃げたら俺は、一生前に進めないのかもしれない。
もう、あの時みたいな想いだけはしたくないんだ。
「琴さん……好きなんだ」
この一言をいうのに何年かかったかな。
たった、この一言伝えるのに。
琴さんの目は見る見るうちに大きくなる。
その表情を見ていた俺は、顔に熱が集中してしまって、やっぱり俯いてしまった。
今。
貴女はどんな顔をしてるの?
俺の気持ちは届いたのかな?

