何も話さず、静かに時間だけが流れていく。
外から聞こえる微かな声だけが、響く部屋の中。
俺に腕を掴まれたまま、部屋の端に追いやられてしまった琴さんは、逃げたくても逃げれない状況で。
正直、俺自身も何を話せばいいのか。
何から話せばいいのかすら、わからない。
この沈黙を破るのが恐い。
破られるのが恐いんだ。
貴女に会ったら沢山話したい事があった。
抱きしめたかった。
告白もしたかった。
だけど……どのタイミングですればいい?
今の俺から何を話しても迷惑でしかない?
あの時の自惚れは……俺の勝手な妄想だった?
それすら自信がなくなってくる。
あの時、涙を浮かべてたのは……琴さん? 貴女でしたよね?

