驚かない訳がないよね。 でも、 「琴さん……でしょ?」 そう真っ直ぐに見つめる俺に 「ど、どなたかとお間違え、じゃないですか?」 そう目を泳がせる。 髪色を黒くし、ひとつに束ね、眼鏡をかけ、化粧も薄く、聞いたこともないような口調でも、わかる。 琴さんだ。 「下手な嘘はいいよ。こんなところで何してるの?」 観念したかのように俺を見つめて、小さく溜息を吐いた。 「何で美鶴がここに?」 「俺? 式に招待されたんだ」 普通に喋れるもんだな。 自分でも驚くくらいに冷静に話せてる。