霧の残る薄暗い夜明け。 琴さんが寝たのを確認すると、俺は部屋を出る。 はぁー、冷えるなぁ。 冬が近づいてるのが、わかる。 冷たい空気と同じ。 俺の心も冷たい。 俺がもっと、大人だったら。 貴女は、俺を選んでくれるのかな? それとも、初めから無理なの? 琴さん……、 俺……そろそろ限界なんだけど。 貴女は、消えてしまいそうな人だから。 俺の腕の中に掴んで離したくない。 だから、せめて言葉の安心くらい欲しい。