碧い月夜の夢

「元気そうじゃん。良かったよ、安心した」

「だから、今頃?」



 会ってから何分経っていると言うのか。

 そう言うことは、顔を見た直後に言う台詞なんじゃないだろうか。

 そう思いながらも笑顔を返し、サヤカも全く変わっていないことを実感して安心する。

 こんなヤツでも、凛々子のたった一人の親友なのだ。

 色々あったからなぁ、と、心の中で呟いてシーフードドリアを頬張る凛々子。

 食べながら、凛々子はちらりとカウンターに視線を送る 。

 眼鏡の姿はなく、さっきから洗い物をしていた茶髪の男と料理担当の女の人が仲良く喋っていた。



(大変だろうけど頑張れとか…仕事のことだよね、きっと)



 そんなことを考えながら、凛々子はふと気付く。

 さっきまでガンガン痛かった頭痛が消えている。

 それも、ここ最近ないくらい、スッキリと。

 不思議な感覚だったが、とにかく、頭痛が治って良かった。



「つか、頭痛?」



 コーヒーのお代わりを頼んで、サヤカは聞いてきた。

 だから今更なのか、と苦笑しながらも、凛々子は頷く。



「うん、引っ越してからかなぁ。ずっと頭痛が酷くてね」

「ちゃんと医者に行ったの?」



 凛々子は昔から医者嫌いだからねぇ、と、コーヒーを運んできた茶髪の店員に極上の笑顔を向けながら、サヤカは言う。

 医者嫌いとは全くその通りなのだが…どうにも我慢出来なくて、一度は医者に行った。

 だが、原因は不明。

 よくある話だが、経過を観察しましょうと、頭痛薬を処方されただけだった。

 だが自分自身、原因が思い当たらないワケでもない。



「ま、あんたに限ってストレスとか、あんまり関係なさそうだけどね。あたしは凛々子の性格を、よぉく知ってるから」



 どういう意味よと言い返そうとしたが、サヤカは真剣な眼差しでこっちを見ていた。

 昔から…それこそ幼稚園の時から地元が一緒で、凛々子の事をよく知っているサヤカ。

 だから、何も言えなかった。