そして、心からトランペットが好きなことを知らない。


母さんが興味があるのは、僕じゃない。
トランペットでもない。



............
トランペットを吹いていて、


.....
入賞する僕に興味があるのだ。




「あら、偉いわねぇ。流石私の子だわ。またコンクールで三位以内に入ってくれなくちゃいけないしね。
渡辺家の恥さらしにはなって欲しくないもの」




結局、僕は親の人形なのだろうか――――?





”――――お前って音色に表情がでるやつって。”





今の僕の音色は、どんな音色なんだろう?


いつも一人で練習していたから気づかなかった。



「吟ー?母さん帰ったわよー?」


「お帰りなさい、母さん。」



母親は、父親よりも完璧主義だ。

僕に英才教育を始めたのは母親だ。