ふと……
今日の夕飯こそは鍋かもしれないな、と私は思った。
こんなに寒いのだし。
母の機嫌もよかったのだし。
父だって、何だかんだ言って嬉しそうだったではないか。
きっと、玄太が雪かきの間にうまく言いくるめたんだ。
そんな五人がコタツで鍋を囲む。
弥生ちゃんはやっぱり苦手だけど……
うん、でも、鍋は悪くはない。
私は暖まり始めた車の中で、冷えた指に息をかけながら、少し離れたところで揺れるシルエットを見ていた。
玄太と弥生ちゃん。
それから、赤ちゃん。
……そうか、私にも家族が増えるのか。
赤ちゃんは女の子だって言ったっけな。
玄太に似ているのだろうか。
弥生ちゃん似かもしれない。
どちらに似ても、きっと可愛いだろう。
私は、ゆっくりと車を走らせる。
二人は夜道を、手を繋いで歩いていた。
それをゆっくりと追い越して行く。
幸せそうだ。
二人より先に家に帰ったら、家の鍵はしっかりかけておいてやろう。
田舎なのだから、家族が全員揃うまで、あまり鍵はかけないのだけれど。
今日は特別だから、二人で鍵を開けたいだろう。

