体育館シューズは、バスケットゴールの下に置き去りにされていた。


「あった、あった。」


「早く戻ろ?
ホームルーム始まっちゃ…
あ。」


小鞠が、一つだけ寂しそうに転がる、しまい忘れられたボールに気づいた。

うさぎが小鞠の視線の先のボールに歩み寄り、両手で拾い上げる。


「何処に片付ける?」


「イイよ、イイよ。
私がやっとくから。
うさぎちゃんと祥子ちゃんは、先に戻って?」


「イイじゃーん、ちょっとくらい遅れても。
なんなら、ホームルームくらいサボっちゃっても?」


ダメだよー、なんて嬉しそうに笑いながら、小鞠が体育館の隅にある体育用具室の鍵を開けた。

うさぎと祥子もそちらに向かう。

入り口とは反対側の、体育館の隅に‥‥‥