なんでそうなるんだよ?ドラムなんてやっても音楽は弾けねーだろうが




『そう言えばお前らドラム必要じゃね?そしたらもっと立派なバンドが出来る』


店長の一言は鉄や亮に向けられた

それにすぐに反論したのは勿論鉄




『は?まぁ、ドラムが必要かと聞かれたらそうだけど。………いや、待て待て』


自問自答するように鉄が勢いよく立ち上がった



『バンドの仲間って言うのは家族よりも長く一緒に居るって事なんだよ。なんでこの間会ったばかりのこいつと』



-----------カチン。

今なんかすげーむかつく事言われた


勝手に話進めてるけど俺は何にも言ってないし、こっちだってお前と音楽やりたい訳じゃねーよ



『でもお前らなかなかメンバー探さねーじゃん。これも何かの縁だと思えよ』


店長も俺の意見なんて聞かずに話進めてるし



『いや、待てって。メンバーはもっと慎重に。なぁ、亮?』


一番決断力がなさそうな亮に話は振られた


だーかーら。俺はドラムやるなんて一言も言ってないし


バンド組む予定も立ててねーのになんでこいつらと………


それなのに亮は衝撃的な事を言った




『尚、うちのドラムやってくれる?』


亮の言葉は真っ直ぐで、やっぱりこいつは気に食わねぇ



『は?亮!お前まじかよ?本気?』


隣で鉄がぎゃーぎゃー騒いでるけど、俺はあまり聞こえてなかった



“尚、うちのドラムやってくれる?”


あんなにすごい曲を作る奴にこんな事言われたら夢を見ない訳がない


同じステージであの曲を演奏している自分の姿を