『……なんで演奏止めちゃったんですか?もっと聞きたかったのに』


そんな中、高瀬が残念そうな顔をしている

それを見た店長はくわえていた煙草の煙を天井にはいた



『亮は耳がいいから微妙なズレが気になるんだよ。まぁ、自分の作った曲だから妥協したくねーんだろ』



おい、今何て言った?自分で作った曲だって?



『えーさっきのってプロの人が作ったやつじゃないんですか?』


『あいつらが演奏する曲は全部亮が作詞作曲してるよ。コピーはやりたいねーんだと。生意気な奴らだろ?』



何故か店長の顔が誇らしげだった


作曲作曲?あの亮って奴は何者なんだ?


結局その後、夜のライブハウスの客が入って来てあの二人が演奏の続きをする事はなかった





『あの人達、私達と同い年なんだって。すごいよね!私感動しちゃった』


その帰り道、高瀬の興奮はまだ収まっていない様子



『かっこよかったなぁ。またお店に来て弾いてくれるかな?』


-----------ちっ。

何かが気に食わねぇ

いや、なんか胸の奥がモヤモヤする



『尚どうしたの?』


一言も喋らない俺を見て、高瀬が不思議そうな顔をしている


『なんでもねーよ』


俺は訳の分からない感情を高瀬にぶつけるように、早々と家に帰った