『鉄、これで弾いてみて』


亮という奴が渡したのは楽譜

フリーハンドで書かれた楽譜は少々いびつに見える



その後、マイクスタンドの前に立った亮は静かに息を吸った



-------♪♪♪…♪♪……


店内に流れるゆっくりとしたイントロ、そして


---------♪♪♪♪!!
---------------------♪♪♪♪♪!!!


激しいメロディと共に爆音が俺の耳に交差した



-----------♪♪♪!!!
-------------------♪♪♪♪♪!!!

------♪♪♪!!!!!!!


なんだこれ……

俺は地鳴りのようなメロディに衝撃を受けた


前後左右のスピーカーから耳が痛いほど音が飛んでくる



それより驚いたのはあいつらの顔だ

さっきの顔つきと全然違って何かオーラのようなものを感じた



こいつらはなんなんだ?


もしかしてプロの奴らか?


--------♪♪♪…♪♪ッ!


すると突然演奏がピタリと止まった



『やっぱり何か違う。跳ね上がって聞こえるんだよね。ここの部分』


亮はそう言って再び楽譜に目を向けた



俺には分からない世界

目の前の二人に圧倒されて何も言葉が出てこなかった