ずっと座ってるのも寒いから、ちょっと立ち上がってベンチの周りをウロウロすることにした。 手が冷たい……。 「栞奈」 ふと、後ろから声が聞こえてきた。 振り返ると、谷先輩がフェンス越しに手を振っていた。 「先輩!」 「久しぶり。大会以来だっけ」 「はい!」 谷先輩は視線をあたしからコートの方へと移し、苦笑いをした。 「あの二人……相変わらずだな」 「はい……もうかれこれ一時間半です」 バスケ馬鹿が二人もいたら、もう止まらない。