「どうせまたくだらないことでケンカしたんだろ」


いつものパターンだ。

そして大抵は三日以内に元に戻る。

特に心配することはなさそうだ。

そう思っていたのに、岬は大きく首を横に振る。


「違う!
今回は重大!」

「はいはい」


そう言うのもいつものこと。

結局どうでもいいことで言い争ってるだけ。

恐らく心配してるであろう大和に連絡を入れてあげようと、俺はテーブルの上に置きっぱなしのケータイに手を伸ばす。

が、その手をパシン!と岬に払われる。


「いった……」

「絶対連絡しないで!」


面倒くせぇな……と思いつつ、割と強い力で払ってきた岬の顔を見る。


「え……ちょっ、おい……」


岬の顔を見て、ギョッとする。

チワワのような大きな瞳に涙をいっぱい溜めて、今にも泣きそうな様子。


え……俺のせい?