君に出会わなければ…





ドアを開けると、溝口の背中がドアを塞いでいた。





溝口は後ろを振り返り、私に頭を下げた。





「何をなさっているんですか、お母様。」





溝口を見ずに、お母様にそう聞くと、少し後ろめたそうな顔をしながら、「貴女と話をしようと思って。」と言った。






「後藤さんから、今日は食事は部屋で食べると伝えたんですが、聞いてませんか?」




「聞いたけど、理由は聞いてないから、それを聞こうと…」



私はお母様の話を遮り、溝口に聞いた。



「溝口、後藤さんに理由は説明したの?」



「はい。お疲れのようなので、部屋で召し上がると伝えてあります。」



そこでお母様が言った。





「疲れたからというのは聞いたけど、なんで疲れてるかは聞けていなかったから…」



私は最後までお母様の話を聞かずに、部屋を出て、下の階へ階段を降りていった。