君に出会わなければ…






痛みのピークが過ぎると、徐々に和らいでいって嫌な汗だけ残った。



「ふう~。」


大きく息を吐き出しても、もう痛みはない。


うまく呼吸もできるようになった。


トン、トン


「失礼します。」


そう言って、溝口が夕食を持って帰って来た。


「ありがとう。」


声が少しかすれた。


溝口はそんな小さな変化を見逃さない。



「お嬢様、私がいない間なにかありましたか?」


素早くテーブルに夕食がのったお盆を置いて、ポケットからハンカチを取出し、私のおでこの汗を拭いた。



「急に痛みが出て。でもすぐに引いたの。」


そう話すと、溝口は何も言わずに水の入ったグラスを持ってきた。


「少しでもいいのでお飲み下さい。」



「ありがとう。」


そう言ってグラスを受け取り、一口飲んでテーブルに置いた。


ソファーに背を預けた。


もう夕食を食べるだけの元気は残っていない。


それを溝口に伝えようと口を開きかけた時、部屋の外でだれか騒いでいる声が聞こえてきた。