君に出会わなければ…







「奥様には本日のスケジュールと、帰りが遅くなった理由を大まかに説明いたしました。お嬢様の発言が相当ショックだったようで、今は居間で休まれております。」

そうたんたんと報告をしていく溝口。

「木村からご支持の方を伺いましたので、お夕食はお部屋で準備させて頂きます。後ほど奥様がいらっしゃるかと思いますが、特に理由がなければ、お通ししなくてよろしいですか?」


「そうして下さい。後藤さんにも一切会わないと伝えてもらったはずだけど。」


後藤さんは家政婦さんたちの中で一番偉い、チーフの人のことでお母様つきの家政婦さんの中の一人だ。


「後藤では奥様をとめられそうにありません。」


(まずいな。)


こうなると部屋まで乗り込んできそうだ。


「なんとかお止致しますので、ご安心ください。」


私の考えを呼んだのか、溝口はそういった。


「迷惑掛けてごめんね。」


そう謝ると、溝口は笑ってくれた。


「今まで我慢されていたんです。気になさらないでください。」


「お夕食を取りに下に行ってきます。」


と言って部屋を出て行った。