君に出会わなければ…






テーブルにカップを置いて「ねー、モナ。お嬢様が大好きだもんね。」と坂本さんが言うと、モナは尻尾を振って私の顔を見上げた。


「ありがとう。モナ、私も大好きよ。」

坂本さんにお礼を言って、モナの顔をわしゃわしゃして顔をくっつけた。


「やっと、笑顔が見れました。」


そう坂本さんが言った。

その発言にビックリして彼女を見ると、坂本さんは安心したように微笑んでいた。


「今日、おかえりになった時のお顔を見てとても心配でしたが、お嬢様の笑顔が見れて安心致しました。」

モナと接して、坂本さんと話していたら、自然と笑顔になっていたようだ。

こんなにも心配を掛けていたことに気づき、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「お紅茶、冷めないうちに召し上がってください。」


「ありがとう。」



トン、トン


「お嬢様、失礼いたします。」



紅茶を一口飲んだ時、溝口が戻ってきた。



「おかえり。」


そういうと、溝口は頭を下げてドアを閉めた。


「お母様のこと、押しつけてごめんね。」


そう謝ると「いえ。」と言って、目の前のソファーの手前まで来た。


「お嬢様、私は外で待機しております。」


「わかった。ありがとう。」


坂本さんにそう言うと、溝口に後は任せられるところまでティーポットなどを片づけて、部屋を出ていった。