君に出会わなければ…






私の体の中でいったい何が起きているのだろう。

先生はなんで別れ際にあんなことを言ったのだろう。

念のためとはいっていたけど、何もないのならそんなことは言わないはず。


そしてまた家に帰って来た時から胸が痛み出していた。


(何が起きているの?)


だんだん不安が大きくなって、それと比例して胸の締付けが大きくなっていく。


目を閉じ考えるのをやめた。


そんな私の異変に気付いたモナが起き上がって、心配そうにこちらをうかがっているのがわかる。


幸い数分で痛みは薄れて、違和感に変わった。


目を開けると、モナが大丈夫?と聞いているかのようにほえた。


「ワン!」


「大丈夫、大丈夫だよ。」


そう言って頭を撫でてやると、また膝の上に顔を乗せたが、今度は目をつぶらずにじっと撫でられているモナ。

この子も私の異変に気付いているのだろうか。


「どうかなさいましたか。」


さっきの私の様子を見ていない坂本さんが、数分の間に何かあったのではと、心配そうにお茶を入れて持ってきた。


モナがほえたことが珍しいから、きっと何かいつもと違うことが起きたのだと思ったのだろう。


「なんでもない。ため息ばっかり私がついていたから、心配してくれたみたい。」

そうごまかすと、坂本さんはカップに紅茶を注ぎながら笑った。


「誰にでも人懐っこいモナですが、お嬢様に対しての甘えっぷりは、誰にも見せないものなんですよ。」