5人は顔をあげると、温かい笑顔を浮かべて、
「いいえ。」
と横に顔を振った。
坂本さんを含めたこの6人は、いつも笑顔で私を待っていてくれる。
そんなこの人たちが私は家族同然に大切だ。
歳は10個くらい離れているが、実の弟の奏志朗よりも兄弟のようにいろんな話が出来るし、両親に話さないような相談もできる。
なにより笑顔で迎えてくれた時、家に帰って来たと実感する。
今日は、彼女たちの笑顔を見れて、帰って来たとじわじわと実感していると同時に、さっきまでの緊張が切れてどっと疲れが押し寄せてきた。
「疲れた・・・。」
ついつい愚痴をこぼすと、6人の中で一番年上の木村さんが部屋のドアをすぐに開けてくれた。
「お茶をすぐに入れます。まずはお着替えだけなさって、お夕食前少し休まれた方が。」
そういう木村さんの言葉を聞きながら部屋に入ると、洗濯された洋服が部屋に入ってすぐのソファーの上に置いてあるのが目に入った。
普段、洋服を畳むのもしまうのもなるべく自分でするようにしていて、洗った洗濯ものはいつもソファーに置いておいてもらっている。
でも今日は畳む気力がない。
「木村さん、お願いがあるんだけど。」
「はい、なんでしょう。」