だがしかし、よりによって疲れている今日、それをするのをすっかり忘れていた。
連絡はしておいたが、奏志朗を早く帰らせるのを忘れた。
あれから3年たっている。
また、同じことが繰り返すされることになるかもしれないと思うと、3年たった今でも疲労感がどっと押し寄せてくるし、いつも以上に自分が不機嫌になっていくのがわかった。
私の中であれはかなりのトラウマだ。
こんなことでいつまでも悩まなくてはいけないこの家に、いささかならず腹が立つ。
・・
3年前のあれを思い出して、家に着くのを遅らせたくなった。
こういう時に限って、時間とは早く過ぎるものだ。
いつもなら長い、門から玄関までの道のりも、今日はあっという間だった。
玄関の前には、家政婦の若い人たちが出迎えてに立っていてくれている。
つまり私の帰りが、家中に知らされているということ。
お母様にももちろん伝わっているだろう。
「茉莉お嬢様、到着いたしました。」
運転手のその一言で、もう逃げられないと覚悟を決めた。
溝口が先に車から出て、次に私が降りた。
「「「「「おかえりなさいませ、茉莉お嬢様。」」」」」
そう言って頭を下げる家政婦さんたちを見て、後悔した。
(まえもって家政婦さんの出迎え、止めさせるように指示しておくんだった。)
また彼女たちの前でお母様に怒鳴られるのは、精神的ダメージを倍増させる。 ・・
外に立っている人たちはまだ若い、あれを知らない人たちだ。
何回も噂の種にされるのは、プライドが許さない。

