そのあとのことはよく覚えていない。
ただそれ以来お母様とは1か月くらい口を利かなかったし、奏志朗とも話さなかった。お母様に話しかけられても、怖くて返事すらできなかった。
家政婦さんたちの間では、お母様の発言から後継者が奏志朗だと噂がながれ、奏志朗の機嫌取りにせいを出して、私への興味はより一層薄れていた。
そんな中、今私の世話をしてくれている家政婦さんたちは、当時家に帰っても部屋に引きこもっていた私を連れ出して、私の遊び相手をしてくれた。それ以来ずっと、私の世話をしてもらうのは彼女たちと、彼女たちの下についた者だけにしている。
さすがに家でのことを耳にしたお父様も、無視できる状態ではないと思ったらしく、お母様と奏志朗と一緒にプレゼントを抱えて、私の部屋まで謝りに来た。
今思えばお父様はその時初めて、私の居場所や味方がこの家にはないと知ったのだと思う。だから、私が小学校を卒業したと同時に溝口を私の執事にしたのだ。
それ以来私は、帰りが遅くなるときは必ずお母様に連絡して、奏志朗には早く帰るように説得した。

