少し寝てもやっぱり疲れは全くとれていない。
こんなに疲れたのは久々だ。
肉体的にも久々の検査で疲れているが、これから家で待ち受けているお母様のことを考えると、精神的にかなりくる。
きっと奏志朗はまだ家に帰ってきていない。
今朝のことを心配しているお母様のことだ、奏志朗の様子が分からない今、きっと心配を通り越してイライラしている。
いつもなそのイライラも、私がなだめるから爆発せずに済んでいるが、今日はその私も帰ってこない。
奏志朗の機嫌が悪くて私の帰りが少し遅いという、同じような状況が過去に2回あった。
1回目の矛先は家政婦さんの新人の人だった。
その人はそれがきっかけで退職した。
2回目は、退職までさせてしまったことがさすがにまずいと思ったのか、家政婦さんの代わり、少し遅れて終わった習い事帰りの私に、玄関で、家政婦さんがたくさん立っているところで、怒りをぶちまけたのだった。
「茉莉、あなたこんな時間まで何していたの!?
奏ちゃんのお姉ちゃんがこんな時間までふらふらしているから、奏ちゃんがこんな時間まで帰って帰ってこないんじゃないの!!
あなたのせいで奏ちゃんに何かあったらどうするの!?
奏ちゃんは内海グループの後継者なのよ!
責任取れるの!?
このバカ娘が!!」
お母様が私に手を上げようとしたその時、ちょうど玄関のドアが開いた。
お母様が私を怒鳴り飛ばしているところに、奏志朗は平然と帰って来たのだった。
小学生の時だった。
いまだに覚えている。
奏志朗は習い事をさぼって、友達と遊んで帰ってきたところだった・
お母様も奏志朗がさぼったことは知っていたから、イライラは最高潮だったのだろう。
でも決して奏志朗は怒られない。
奏志朗が帰りが遅くても怒られることはないし、奏志朗が怒りの原因でもそれをぶつけることはない。
私を怒鳴り飛ばした後で、心配していた心が戻ったところだったのだろうか。その時のお母様の考えていたことは全く分からない。ただ次に起きたことで、私はお母様に初めて失望した。
なんと奏志朗が玄関に立つと、お母様は奏志朗に駆け寄り抱きしめて泣き出したのだ。

