いったい何。
私は間違ってる?
これ以上は柚葉を巻き込みたくない。
私が後継者候補だと言う噂が流れると私だけでなく、一緒にいる柚葉にも遠慮ない視線と、遠慮のない噂話が付きまとうようになった。学校での私たち2人への視線は耐えがたいものがある。
「私1人残して、1人ハーレムなんて許さないからね。」
「柚葉…。」
「それに注目されてるのなんて、今に始まった事じゃないからね。
学校であんたたち姉弟は目立ってるんだから。
今更騒がれようとなんにも思わないわ。」
「それにだ、茉莉。
今柚葉ちゃんと2人でいるからいいが、お前は高校で違う所に行って新しい環境を築ける。
でも残された柚葉ちゃんは、あの狭い世界でお前がいなくなったら1人で耐えなくちゃいけなくなるんだぞ。
社会の縮図のような、ヒエラルキーの中に。
確かにあの高校を卒業したら世間体はいいだろう。
だが、3年間苦痛との戦いになる事はお前もよくわかるだろ。」
まったく考えていなかった。
私は1年でいなくなる。
だからエスカレーター式で中学から上がれる、あの高校に進学しても別に構わないとも思ってた。
だけど、は違う。
3年間、高校生活を送らなくてはいけないのだ。
「ごめんなさい。」
「謝らなくていいよ。
茉莉はいつだって私の事を考えてくれてた。
親から離れないでいられる、今の学校の方がいいって思ってくれてたんだよね。
1年たったら茉莉はいなくなっちゃう。
だから慣れた環境で、茉莉がいなくなっても過ごせるようにって。
でもね、茉莉がいなきゃ意味ないの。
少しでも一緒にいたい。
だから私は自分で考えて決めたの。
高校は男子校に行く。」

