君に出会わなければ…






「お父様、そのお話お断りします。



私には荷が重すぎます。」






きっと父はこの答えは求めてなかった。




私の中に拒否という言葉があることを、今知っただろう。





だが、驚くかない父。




笑みを浮かべて、そうか。と頷く。





ここでこの話は終わりかな。





「徐々に、勉強していけば大丈夫だ。私が教えていくしね。」






終わらないのか。






「考えて欲しい。一人一人これからの内海をどうしていきたいか。1ヶ月後に答えを出してくれればいい。ゆっくり考えてくれ。」







これ以上の議論は無駄だとわかった。






今も未来も私の答えはかわらない。






1ヶ月後に断るのみ。






「わかりました。」






そう返事すると、目の前に座ってた奏志郎は立ち上がった。







「奏志郎、まだ食事中よ。」






母は心配そうに奏志郎に声をかける。






今のこの人に何を言っても無駄なことくらい、母親ならわかるだろうに、どこまでも過保護だ。