お母さんの言葉に頷いて、私は部屋へ向かった。 外で待っていた溝口が、後ろから続いて、階段を登る。 奏志郎の部屋の前を通ると、お手伝いさんたちは全員部屋の外に立っていて、私を見ると会釈をして微笑んでくれた。 私のせいでこの人たちにまで迷惑をかけたのに、それが分かっていて笑ってくれているのだ。 「ごめんね。」 そう言うとみんなもう一度頭を下げた。 「お嬢様、今ここにいるのは危険です。部屋に行きましょう。」