君に出会わなければ…












お父さんはもう一度、私をつよく抱きした。









「茉莉にここまで犠牲になってもらって、私は父親失格だな。」









そう言ってお父さんは泣いていた。








家に着いてからは地獄だった。






奏志郎が暴れた跡がそこら中にあり、家の中は悲惨だった。





ショックで立ち止まった私にお父さんは言った。






「茉莉、気にすることはない。お前は悪くないんだから。」









そう言ったお父さんに肩を抱かれて、ダイニングに行くとお母さんがお茶を飲んでいた。









「ただいま。」









そうお父さんが言うと、お母さんははっと私たちの方を見た。









「ごめんなさい、ぼーとしてて出迎えができませんでした。おかえりなさい。」








「ただいま帰りました。」









「お帰りなさい、茉莉。お茶飲む?身体は大丈夫?ご飯まで少し休んだら?」








「少し部屋で休みます。」








「そう、じゃあご飯になったら呼ぶわね。それまでゆっくり休んでなさい。」








「はい、失礼します。」








「茉莉、」








「はい。」








「奏志郎のことは気にしちゃダメよ。私たちに任せて、あなたは自分のことだけを考えて、できることをやればいいんだから。」