そう言うと警察官の人は、笑顔で会釈してくれた。
「あの、1つ伺ってもよろしいですか?」
「どうぞ。」
警察官の人はすぐに了承してくれたので、私は気になっていたことを聞いた。
「弟は、ちゃんと謝りましたか?」
私は奏志郎に聞こえるように聞いた。
決して奏志郎は見ない。
「いえ、聴取が終わってから私共とは一言も会話はしてません。」
警察官の人は穏やかな顔でそう言った。
部屋の中は誰も言葉を発しなくなった。
奏志郎の友達もさっきまで話していた様だが、今は話してはいけない空気だと分かったようだ。
「奏志郎。」
私は奏志郎を見ずに奏志郎を呼んだ。
「何だよ。」
まだ何も言っていないのに不機嫌な声。
言わずとも言いたいことを分かっているという事だ。

