奏志郎の顔は見える。
そのお友達も。
私のことが好きだとかなんとか言っていたお友達もいた。
はあー。
私は大きなため息をついた。
その声がお父さんたちの方まで聞こえたらしく、すっかり私の存在を忘れていたお父さんに呼ばれた。
「茉莉、ご挨拶しなさい。」
一応ついて行ったからには、弟が迷惑をかけた人に挨拶をするのが礼儀だ。
「はい、お父様。」
一応人前なのでお父様呼びで返事をして、お父さんの方へ歩いて行った。
「娘の茉莉です。」
お父さんにそう紹介された私は頭を深く下げて、
「奏志郎の姉の茉莉です。この度は弟が大変なご迷惑をおかけして、大変申し訳ございませんでした。」

