年子で、姉である私。
後継者ではないが、奏志郎の姉である私。
内海家の長女で、カリスマと呼ばれる両親の子供である私。
私には少し荷が重すぎた立場。
見返りは何もない人生。
別に後継者なんてどうでもいい。
むしろこれ以上の重荷には耐えられないだろう。
ただその立場が羨ましい。
見返りを求める権利がある。
常に優先され、欲しいものは簡単に手に入る。
何をしても許される、そんな甘い考えが幼い頃から植え付けられている奏志郎と引き換え、私には常に脇役、私自身ですら私を中心に物事を考えてはいけない。物心ついた頃にはそれを身体が覚えていた。
一般家庭に比べてみたら、裕福な生活を送っているだろう。
ただこの家の中では、無い物のようなもの。
ほとんどノーカウントだ。
最低限、体裁を整えられればいいくらいの教養は身につけさせられた。
それは私のためではない。
内海の子として、恥ずかしくないようにするためだ。
自分の意思は通らない。
泣いても喚いても、頑張っても見返りはない、それがわかった幼い子から、今まで自分の意思は伝える事をやめていた。
その成果は、内海家の立派な長女という周りからの評価だった。
勝手に評価されたものだが、利用価値はある。
だから、外ではこのイメージ活用して気の向くままにある程度は過ごせるような環境を確立した。

