君に出会わなければ…









その言葉で、私は何も感じず、何も見えなくなった。




あたりが真っ白だった。






お父様が強く握っている手も、お母様が顔を埋めている肩も何も感じない。






溝口も、高城先生も、柚葉のお父さんも見えない。





私は死ぬんだ。






「お嬢様⁉︎」






溝口の声で現実に戻ったのは、どれくらい時間がたってからだろうか。





私の目から一粒の涙が落ちた。
目の前には心配そうな顔で、さっきまでうつむいていた溝口が、目の前でかがんで私の顔を見ていて、隣にはお父様が驚いた顔で私を見ていて、お母様は泣きはらした目でこちらを見ていた。








「ごめんなさい。



悲しいわけじゃないの。




ただ、私まだまだやりたい事がたくさんあって。





それができなくなるのが、悔しくて。」






自分でも何でこんなことを言っているのかわからないけど、普段家族の前ではあまり泣かない私がなぜ泣いているのか、理由を話さないと皆が心配すると思ったから。