君に出会わなければ…






奏志郎とは対照的に、私の血圧は下がっていく。
表情が消えていく。
今私はどんな顔をしているんだろう。
考えただけで、悲惨な顔になっている事を想像できた。



「茉莉、どうだ?
考えて見る気はないか?」



あまりの私の反応に声をかけてくる父。





一瞬シカトしてやろうかと思ったが、ここで断っておく事が私には最善の策だろう。







父の顔を見る。





いつもと変わらない、笑みを浮かべてこちらを見ている。





一見温厚そうな父親の顔だ。





だが、家族にですら本心を見せない。





そんな父親を信じていた自分は果たして、正しい判断だったのだろうか。