君に出会わなければ…






溝口は少し機嫌が悪くなってしまったようだ。




さっきの仕返しだ。



色々言った罰というか、八つ当たりだ。




私も意外と幼稚なところがあるのだとわかった。





「そんな…!」





お母様は途中で言葉を無くしてしまった。






「絶対にそんかことはいけません‼︎お嬢様、なんて事を思いつくんですか!」






そんか怒んないでもいいのに。





おじさんは珍しく焦っている様な、そんな様子だ。






「ジョーク。落ち着いて下さい。冗談だから。」







そう言って笑うと、あながち冗談で捉えてない人がいることに気づいた。







「お父様、溝口を巻き込んではいけませんよ。」





そう言うと少し残念そうなお父様。




少なからず溝口を候補に入れたな。





「旦那様、絶対になりません‼︎



こんな未熟者に、そんな大役務まりません。」





おじさんは、お父様の危ない考えを必死で止めようとしている。






本人目の前でここまで言えるのは、父親だからなのか、おじさんの性格だからなのか。






「このことは追々考えるとしよう。」





そう言ってこの話を切り上げたお父様。





どうやら諦めてなさそうだ。






「とにかく、今は茉莉の体が良くならないことには、他の事はできないな。




早く良くなる事。」