君に出会わなければ…










何か言いたげなお父様を遮り、まだ重いが、動ける様になってきていた体で、ベッドから出て窓まで歩いて行きながら、お父様に助言した。




当然動き出した私の後ろを、溝口がすぐに支えるために近づいてきた。






後ろを振り返ると、モナはベッドの上で体を起こして、じっとこちらを見ている。





「大丈夫よ、モナ。」




そう声をかけると、またベッドに寝そべり、変わらずこちらをじっと見ていた。






窓の外をみると今日はよく晴れているようだ。
窓から見える太陽の位置的に、今は午後2時くらいだろうか。





昨日、気を失ったのが夜の8時くらいだから、だいたい18時間寝ていた事になる。







昨日が金曜日でよかった。






そんなことを考えていると、お父様から質問が飛んできた。







「誰か思い当たる人でもいるのかね?」







そう聞かれて真っ先に思い浮かんだ人物。






その人物の名前をつぶやいていた。






「凌太さん。」






昔呼んでいた呼び方で、溝口の名前を言ってみた。







窓の外の景色から目を離して、後ろを振り返ると、お母様はもちろんのこと、おじさんも驚いた顔をしている。