君に出会わなければ…

そう言っておじさんは笑った。




腹黒い笑顔だ。


相当強引に休みにしたようだ。



学校行事などには一回も来たことのないお父様が、まさか来てくれるとは思わなかった。





私が驚いていると、お父様は優しく言った。




「茉莉、1人で抱え込む必要はないんだよ。
お母さんもいるし、私もいる。


何かあったら相談していいんだから。」




「そうよ、茉莉。

家族なんだから。」





そう言ってお父様とお母様に抱きしめられた。




私は今までの不安だった気持ちから、一気に緊張の糸が切れたて、涙があふれてきた。




今まで親の前で泣いたことがなかったが、今日はたくさん泣いた。





私が泣いている間、2人は優しく包みこんでくれていた。




私がしばらくして泣き止むと、溝口が後藤さんを連れて部屋に入ってきた。




「後藤からお話があるようでして。」