それから俺は家に帰った

  「ただいま」

  「おう!茄優!おかえり」

  「お~茄稚!ただいま」

  こいつは俺の弟の茄稚(ナチ)

  捺希の妹の夏葉とタメ

  「茄優~ご飯は?」

  「あ~俺いらね」

  リビングから母さんの声がして

  これだけ言って俺は部屋に戻った


  机の上には最近捺希と二人でとった写真を飾っていた

  
ほんとの笑顔を見せてこの時

 この時が捺希にとって最後の笑顔だった

 今の捺希はこの時以来

 ほんとの笑顔を見せなくなった

 痛々しい笑顔で

 辛そうな笑顔で

 寂しそうな笑顔をする

 この場所に行く前も

 作り笑いだった

 この場所に行ったこの時だけ

 本当の笑顔だった