「うん、大丈夫そうだね。でも無理しちゃ駄目だよ?」 優しい声が香ばしい珈琲の匂いとともに、 少し遠のく。 私は、ホッとして、 持っていたドーナツの箱を差し出した。 「今日はお土産があるんです」 「へぇ、それはあいつも喜ぶな」 「いつもの部屋にいますよね」 「あぁ、行ってやってくれる?オレ1人じゃ相手しきれないから」 参った、と両手をあげる仕草で、 吉水さんは優しく微笑む。 視線を、 廊下の奥へと、向けて――